High Energy Astrophysics Group
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NEWS
- 2022/03/23
- 2020/05/14
研究内容
大質量星の重力崩壊と超新星、コンパクト天体の形成
宇宙には様々な質量の恒星が存在します。現在の宇宙でも太陽の100倍を超える質量を持った恒星が形成されています。恒星内部では核融合が起こり、徐々に重い元素がつくられ、時間とともに変化していきます。こうした星の進化の結果最終的にどういう状態に行き着くのかは、主に恒星の質量で決まっています。特に、太陽のおよそ10倍以上の質量を持ったいわゆる大質量星は、中心部に鉄のコアを形成します。鉄は最も安定な元素でそれ以上核融合しません。そのため、ある閾値を超えると、大質量星は自らの重さを支えることができず、重力によりつぶれてしまいます。これを重力崩壊といいます。このように重力崩壊は大質量星の進化の最後に一般的に起こるものだと考えられています。
重力崩壊を起こした鉄のコアがその後どうなるかが、私たちの研究室で最も精力的に研究しているテーマの一つです。これは現在も理論的には解明されていない重要な問題です。観測からは、超新星爆発とそれに伴う中性子星形成が最も一般的な帰結の一つであることが示唆されています。しかし、重力崩壊がどの様にして爆発に転じるかは難しい問題です。現時点では、ニュートリノが重要な役割を果たしていると考えられていますが、コア内部の磁場が本質的かもしれません。私たちの研究室では、モデルや大規模なシミュレーションを組み合わせて、これらの解明を目指しています。一方で、爆発の際に放出されるニュートリノを観測することでこれらのモデルに示唆を与えられる可能性があります。観測されるニュートリノの性質が爆発メカニズムやニュートリノ振動などにどう影響されるか調べることで、次なる超新星爆発に備えた理論予測も行っています。
また、中性子星ではなくブラックホールが形成される場合もあるかも知れないと思われています。この場合は、光では見えない可能性が高いですが、ニュートリノや重力波では観測が可能です。私たちの研究室では、ブラックホールが形成される際に放出されるニュートリノや重力波シグナルを理論的に求め、それからどういった物理的情報を得ることができるか研究しています。特に、ブラックホールが形成される直前のコア内部は極めて高温、高密度となるため、それが通常の陽子や中性子からなる物質なのか、それともクォーク物質のようなエキゾチックな状態になるのかなど、様々な可能性を研究しています。
ブラックホール形成にはガンマ線バーストが伴うかもしれません。その場合は、通常の可視光を含む様々な波長の電磁波で観測できます。ガンマ線バーストがどのようにして起こるのかは超新星爆発同樣まだよくわかっていません。どの親星が超新星爆発を起こし、ガンマ線バーストやブラックホール形成をするのはどういった場合か、これを統一的に理解するのが私達の大きな目標の一つです。また、大質量星は一般に二重星や三重星として存在することが観測的に知られています。こうした多重星系で超新星爆発が起こった時に、系全体や伴星にどういった影響があるかはまだ十分にわかっていません。また、連星系は進化が複雑で、そのことが超新星爆発の観測に影響を与える可能性があります。これらについても現在精力的に研究を行っています。
高エネルギー天体
宇宙には、地球上では実現できないほどの高エネルギーを放出する現象が数多く存在します。我々の研究室では、宇宙で起こっているこれらの高エネルギー現象が、一体どのようにして発生しているのかを物理学的視点にたって研究し、その理論メカニズムの解明に取り組んでいます。また、現在の地 球上の実験では到達できないエネルギーの現象は、我々の全く予想できない新たな物理の理論モデルを必要とする期待もあり、これらの研究を通して、新たな基礎物理学の発展に貢献しています。
このような高エネルギー現象の多くには、ブラックホールと呼ばれる超強重力を持った天体が関わっています。ブラックホールとは、アインシュタインの提唱した一般相対性理論から、その存在が理論的に予想された天体ですが、近年の観測技術の進歩により、ブラックホールの存在を示唆する観測が 次々と成功しています。そのため、近年は物理学者のみならず天文学者をも巻き込んで、ブラックホールの研究が急速に進展しています。
ブラックホールが関わっているとされる現象の一つに「ガンマー線バースト」と呼ばれる現象があります。これは高エネルギーガンマー線を、短時間の間に爆発的に放出する現象で、このエネルギーソースはブラックホールだと考えられています。また、ブラックホールは非常に重力が強いため、周りの物質を強力に引きつける性質があり、これによって物質はブラックホールに落下し、電磁波、ニュートリノ、または状況によっては重力波を放射する と考えられています。我々の研究室では、このガンマー線バーストや、ブラックホールへ降着する物質のダイナミックスを、解析的、または数値的な手法を用いて研究し、理論宇宙物理学及び天文学の進展に貢献しています。
他にも、マグネターとよばれる非常に強い磁場を持つ中性子星が存在します。マグネターの磁場はネオジム磁石の千億倍の強さであると考えられています。マグネターは巨大フレアとよばれる大規模な天体現象を起こすことが知られていて、そのエネルギー源はマグネター自体の磁場であると考えられています。強い磁場のもとでは量子論的な物理過程が重要だと考えられていますが、その物理過程もよくわかっていません。我々は、マグネターの研究をするための基礎となる強い電磁場中の量子論の研究も行っています。
研究業績
斜体字は研究室メンバー(山田研所属時に投稿した論文)
セミナー
世話人:Wu Fan / 川口 遼大 / 佐野 大志
連絡先:seminar_at_heap.phys.waseda.ac.jp(_at_を@で置き換えて下さい。)
メンバー
名前 | メールアドレス | リンク | |
---|---|---|---|
教授 | 山田 章一 | shoichi@*1 | rm |
学振研究員 | 財前 真理 | zaizen@*2 | rm |
講師 | 岩上 わかな | wakana@*2 | |
助教 | 小形 美沙 | ogata@*2 | |
赤穂 龍一郎 | akaho@*2 | rm | |
招聘研究員 | Milad Delfan Azari | milad@*2 | |
西條 統之 | saijo@*2 | rm | |
山本 佑 | yamamoto@*2 | ||
Laura Barrio | laura@*2 | ||
博士課程 | Wu Fan | wu@*2 | |
伊藤 侃 | ito@*2 | ||
修士課程 | Liu Jiabao | liu@*2 | |
櫻井 大夕 | sakurai@*2 | ||
山本 登大 | nariyama@*2 | ||
山﨑 陸太郎 | yamazaki@*2 | ||
Wu Tongyang | wut@*2 | ||
学部生 | 影山 郁洋 | kageyama@*2 | |
栗原 志穏 | kurihara@*2 |
メールアドレスは以下で置き換えてください。
- *1 → waseda.jp
- *2 → heap.phys.waseda.ac.jp
リンクについて
- → 個人ウェブサイト
- → ORCiD
- researchmap →
コンタクト
電話番号
03-5286-1697 (内線番号 : 3667)
所在地
〒169-8555 新宿区大久保3-4-1 55号館N棟4階07室 早稲田大学 先進理工学部 物理学科 山田研究室
研究室へのアクセス
路線 | 降車駅 | 備考 |
---|---|---|
JR山手線 地下鉄東京メトロ東西線 西武新宿線 | 高田馬場駅 | 徒歩15分 |
JR山手線 | 新大久保駅 | 徒歩12分 |
地下鉄東京メトロ副都心線 | 西早稲田駅 | 出口3(早大理工方面口)がキャンパスに直結 |
地下鉄大江戸線 | 東新宿駅 | 徒歩15分 |
都バス (池86)池袋駅東口→渋谷駅東口 (早77)新宿駅西口→早稲田 (高71)高田馬場駅前→九段下 | 早大理工前 | 徒歩3分 |
西早稲田キャンパス周辺図
西早稲田キャンパス建物配置図
リンク
シンポジウム・ワークショップ
- "The Evolution of Massive Stars and Formation of Compact Stars: from the Cradle to the Grave"
(February 2020) - "Physics of Core-Collapse Supernovae and Compact Star Formations"
(March 2018) - "Formations of Compact Objects: from the cradle to the grave"
(March 2012) - 21COE Workshop: "Inside Compact Objects"
(November 25, 2004)